メイドインジャパン志向に合わせた化粧品工場の国内回帰

化粧品業界の活況が続いている。その買い手の中心はもちろん外国人である。2017年の化粧品輸出額は、前年比39%増の約3700億円となっている。観光庁が発表している平成29年10-12月期の『訪日外国人消費動向調査』のアンケートによると、訪日外国人の61.2%がドラッグストアで買い物をし、最も満足した購入商品では、中国人は「化粧品・香水」と答えた割合が一番高かったという結果になっている。訪日外国人旅行者のうち中国人の割合は約50%となっており、中国人による化粧品マーケットへの影響はかなりの大きさであることがわかる。

 中でも高価格帯の商品が人気となっており、日本製の化粧品は質が高いということがその背景である。化粧品各社はメイドインジャパンを前面に出したブランディング戦略を行っている。

 今後も海外からの化粧品需要の伸びは続くとみられているが、一方では化粧品メーカーの供給力が問題となっている。化粧品メーカーの工場はすでにフル稼働の状態となっており、国内向けの供給も不足気味だ。そんな中、主要メーカーは海外生産から国内生産へと転換を図っている。資生堂は中国市場向けの主力商品「エリクシール」をベトナム生産から国内工場での生産に切り替えている。合わせて、栃木県大田原市に新たな製造工場を建設している。この工場では、IoT技術を取り入れ生産ラインの異常を検知するセンサーなどを導入するなど約400億円をかけて最新の設備が整えられる予定となっている。資生堂が新工場を設立するのは36年ぶりであり、化粧品需要の伸びを象徴する動きだといえる。さらに、大阪府茨木市に20年度稼働予定の新工場が設立予定だが、こちらは想定していた生産能力を引き上げる決定を行っている。大田原の新工場では中価格帯の製品を、茨木の新工場ではアジア向け製品を中心に生産する方針のようだ

 また、コーセーでも現地専用ブランド「ビゼニスト」などを生産していた唯一の中国工場を外部に売却、国内生産に転換し、「雪肌精」や「コスメデコルテ」などに注力している。コーセーの国内生産体制の中核を担うのは群馬県伊勢崎市の工場だ。国内生産への転換に合わせて、雪肌精などを生産していた既存棟に加えて新たな生産棟を建設した。2018年中に群馬工場への移設が完全に完了する予定となっており、更なる成長が見込まれる。

 国内生産への転換はもちろんコスト増に直結することにもなる。また、訪日客の購買行動がこの先も同様の嗜好が続くとは限らない。しかし、化粧品メーカーがこれほどに国内生産に自信を持っているのは、訪日客が日本国内で購入し旅行から帰った後、再度ECなどを通じてその化粧品を購入しているという事実があるからだろう。また、現地販売も伸びており、さらにECを通じた輸出も増加を続けているおり、リピーターが確実に増えていること、さらに中国など富裕層が内陸部にも広がっていることから、更なる化粧品需要が高まることが予想されることなど、プラスの材料に事欠かない。化粧品業界に対する追い風はしばらく続きそうだ。

 


HDC編集部  志塚洋介

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